清水ユース時代の経験を生かし、順天堂大の“つなぐサッカー”を支える1年生GK後藤佑介

[JR東日本カップ2021第95回関東大学サッカーリーグ戦1部・第10節(6月19日)/明治大学 2-2 順天堂大学]

文=柿崎優成/写真=大西由記

 順天堂大学は今、大学勢の中で大きな注目を集めている。きっかけとなったのは、6月9日に行われた『天皇杯JFA第101回全日本サッカー選手権大会』の2回戦。FC東京相手に延長戦の末、2-1と逆転勝利を収め、見事に“下剋上”を果たした。

 順天堂大のゴールマウスを任されているのは、1年生のGK後藤佑介だ。後藤は第2節の慶應義塾大学戦から先発に名を連ね、6月に入って公式戦7連戦の最中にいるチームを最後尾から支えている。

「GKの自分よりもフィールドの選手のほうが疲労はあると思っているので、試合に出続けているなかでも“疲れ”を言い訳にしないように、練習から100パーセント出すように意識しています」

 リーグ戦4連勝で迎えた19日の第10節、明治大学戦。順天堂大は、チームで課題としている早い時間帯の失点をこの試合でも繰り返し、開始5分にリードを許してしまった。さらに52分に追加点を浴び、厳しい状況に。しかし、敗戦濃厚だった終了間際、90分、90+4分と立て続けに得点を重ね、土壇場で引き分けに持ち込んだ。

「前半と後半の早い時間に失点してしまい、厳しい試合になったのは事実。自分が止めていれば勝てたので、2失点したことに責任を感じています。ただ、天皇杯も含め連戦でキツい日程のなか、先制されてしまう試合が多いんですけど、そこから得点を奪って同点、逆転することができている。今日の試合も短い時間で2点を取れたことはチームの調子の良さ。追いついてくれたチームメイトに感謝したい」

 この試合、後藤のプレーで目立ったのは、ディフェンスラインのポゼッションへの参加だ。後藤は小学生時代にセンターバックとしてプレーした経験から、ボールを扱う感覚に自信を持つ。中学からGKに転向し、Honda FC U-15、清水エスパルスユースを経て順天堂大に進学。チームが志向するディフェンスラインからつなぐサッカーには、清水ユース時代の経験も生きているという。

「エスパルスユースもポゼッションするチームで、自分が前に出てボールを受ける回数が多かった。高い位置を取ってボールに関わったり、背後をカバーしたりするプレーは自分の特徴。前に出ることで怖いところもありますけど、チームとしてボールを回すサッカーに取り組むなか、自分が高い位置を取ってボールに関わることで、相手のプレッシャーをかいくぐることができると思っています」

 1年生にしてスタメンの座を勝ち取った後藤は、大学サッカーのレベルを体感しながら、試合をとおして成長を続けている。

「(大学サッカーは)レベルの高いFWが多いし、Jクラブ入りが内定している選手もいて、自分は全然足りてないと感じることもあります。自分にできることは、全力を尽くして毎試合戦っていくこと。そして点を取ってくれるフィールドの選手のために、1失点でも少なくできるよう頑張っています」

 リーグ戦の連勝記録は「4」でストップしたものの、昨シーズンの覇者、明治大と引き分け、前期リーグ残り2試合は早稲田大学、駒澤大学と上位との対戦が控えている。

「上位相手に無失点を達成できれば、自分の成長も示せると思う。自分がシュートを抑えられるかが大事だと思うので、まずは立ち上がりの失点をなくす対策を立てて試合に臨みたい」。チームを勝利に導くため、後藤がゴールに立ちはだかる。