同期の活躍に悔しさを覚えた清水ユースMF金子星太、後悔を胸に4年後のプロ入りを目指す

[高円宮杯JFA U-18サッカープレミアリーグEAST2021・第12節(12月12日)/清水ユース 1-1 流経大柏]

文=柿崎優成

試合終了のホイッスルと同時に倒れ込み、事の終わりに涙が止まらなかった。慣れ親しんだチーム、仲間と戦う最後の試合。勝って終わりたいのは学生ならではの本望だろう。
「優勝懸かっているとか関係なしに6年間お世話になったクラブで最後の試合勝てなかった事に悔しさが残ります」そう話すのは清水エスパルスユースにMF金子星太だ。勝ってもリーグ優勝は他力本願の状況で流通経済大学附属柏高校戦に臨んだ。

「前半から小さいプレーが多くて大胆なプレーが少なかった」と言うように自分たちのサッカーを披露できずに2年生主体の相手に苦戦を強いられる。スコアレスで迎えた66分に均衡が破れる。相手陣内深いエリアでスローインを獲得するとDF畠中勇士朗のスローインは金子を通り越えてFW斉藤柚樹へ。斉藤から浮き球のパスを受けた金子がボールの芯を捉えたミドルシュートを決め先制に成功する。
「最近点取れてなくて前半も浮かすシュートが多くて、それでも思い切って打った結果決まってよかったです」
このまま勝利で最終戦を終えたかったが71分にセットプレーから失点を許し同点にされる。反撃を試みるも1点が遠く1−1の引き分けでリーグ最終戦を終えた。

金子は全試合にスタメン出場して6得点を記録。フィールドプレーヤーで最多の1613分にして「今まで積み上げてきたものが試合で発揮できるようになりました。全試合スタメンで出場させてもらったことで、どんな状況でも自分のプレーを出せた事が1番の収穫です」と振り返る。

主戦場は左サイドで攻撃の起点となる役を担った。リーグ得点王のFW千葉寛汰に目線が行きやすいチームの中で金子の貢献度は高く劣勢のアウェイ流経大柏戦で前掛かりになったDFの裏を突く勝ち越しゴール。同じくアウェイFC東京戦ではコーナーキックから意表を突くコースを狙ったミドルシュート。2試合勝利が無い中で迎えたホームの浦和レッズユース戦では、自陣で奪ったボールから金子を起点にショートカウンターで右サイドに展開したボールにファーサイドの金子がボレーで合せる得点など、敗れたFC東京U-18戦を除きチームを勝利に導く得点を挙げてきた。

1年間スタメンでプレーした反面トップチームに昇格するDF菊地脩太と千葉。U-17日本代表候補に選出されたMF鈴木奎吾を見て「このままじゃいけない思うことがありました」と劣等感を抱くようになる。
ジュニアユース所属時に見た2個上の先輩の中学年代3冠達成。ユースに昇格後「1年生だから大丈夫。3年生強いから出れなくて当たり前」の心情を金子は後悔した。
これ以上後悔したくない自分を変えるために選んだ大学進学。生まれた時から慣れ親しんだ地を離れ来春から新しい挑戦が待っている。
「自分の隣には小学1年生の時からサッカーとエスパルスがいて思い出のあるクラブで凄く良い環境でサッカーできた事は自分の宝物です。この経験を糧に頑張らないといけないと思いました。大学行って1年時から試合に絡めるようにに努力していかないとプロになれないと思うので(千葉)寛汰と(菊地)脩太に追いつけるように4年間頑張っていきたいです」

トップに昇格する2人の他にキャプテンの鈴木を含め4人は小学校時代から清水地域で切磋琢磨した中だ。進む道は変わってもサッカーの原点は変わらない。「あの時の清水ユースは強かったよね」と周りが言うくらいの進化を4年間で遂げて欲しい。