三笘薫、田中碧、宮代大聖…「努力をしている人が上にいく」桐蔭横浜大GK早坂勇希は身近な存在から刺激 

[JR東日本カップ2020第94回関東大学サッカーリーグ戦1部・第16節(11月7日)/桐蔭横浜大学 0-0 早稲田大学]

取材・文=柿崎優成

 川崎フロンターレU-18から桐蔭横浜大学に進学して3年。GK早坂勇希は現在、桐蔭横浜大の守護神として君臨している。昨シーズンから出場機会をつかみ、リーグ戦フル出場。天皇杯やインカレでも全試合に出場し、関東大学リーグ2位、インカレ準優勝と躍進を遂げたチームを最後尾から支えた。その実力が評価され、コロナ禍で大会開催が見送られたもののデンソーチャレンジカップ宮崎大会の全日本大学選抜に選出されていた。

「今まで以上にやらなきゃ上にいけないと感じている。日々のなかで課題を発見することで意識は高まった」

「上にいけない」という気持ちは、川崎U-18時代の先輩や後輩がトップチームで活躍していることに起因する。

「(田中)碧さんだったり(三笘)薫さん、(宮代)大聖とか、身近な先輩や後輩が活躍していて、負けていられない気持ちになる。彼らを見て、たくさん努力をしている人が上にいくんだと再確認できた」

 例として挙げた3選手は川崎のトップチームで試合に絡んでいる。田中は今シーズンここまでリーグ戦23試合に出場し、攻撃のタクトを振るう選手へと急成長。三笘は途中出場が多いなかで11得点をマークし、新人選手の得点記録更新が期待されている。宮代は層の厚いFWの中で出場機会こそ限られているものの、明治安田生命J1リーグ第15節・ヴィッセル神戸戦ではチームを勝利に導くゴールを記録し、存在感を示した。

 さらには、桐蔭横浜大から川崎に加入した先輩の存在も大きい。

「(イサカ)ゼインさんや、(橘田)健人くん(来シーズン加入内定)、山根視来選手(桐蔭横浜大から湘南ベルマーレに加入し、今シーズンよりに移籍)と大学からプロに行く選手が多い。彼らが活躍することで、自分もできるんじゃないかと自信になっているし、自分も彼ら以上に努力していきたい」

 川崎のアカデミーで8年間過ごし、桐蔭横浜大へ。これまでとは異なる環境に身を置くなかで、早坂はサッカーができる喜びや“部活“ならではの良さを肌で感じている。

「大学サッカーは“部活”なので、学校から支えていただいている。例えば、クラスメイトが応援してくれる。部員の数も多いので背負うものが大きく感じるし、運営などの裏方作業で部や大会を支えてくれる人もいる。そういう人たちのおかげでピッチに立てているし、いろいろな人と支え合ってサッカーができている」

 その想いを毎試合心に刻みながら、早坂はゴールにカギを掛ける。11月7日に行われた早稲田大学戦は、前回対戦で大敗を喫した相手だけに負けたくない気持ちが一層強かった。

 試合は終盤になるに連れて早稲田大の攻勢が強まり、再三ピンチが訪れた。しかし、早坂の的確なコーチングと飛び出しで無失点で切り抜け、スコアレスドローでチームに勝ち点1をもたらした。桐蔭横浜大は来年1月に開催される全国大会の出場を狙える順位につけている。得点力不足という課題は払拭できていないが、守備を大事にするチーム方針のもと、早坂にかかる期待と責任も大きい。

 早坂が意識する川崎は今シーズン、J1リーグで10連勝を2度達成するなど他を寄せ付けない強さを誇り、首位を独走している。アカデミーの選手として真近で見てきたチームだからこそ「伝統あるフロンターレが“伝説”になっていく流れがすごい」と驚きを隠せない。

 そして先日、今シーズン限りでの現役引退を発表した中村憲剛への想いを口にした。

「アカデミー時代も、大学入ってから練習参加した時も、憲剛さんは僕らが練習に入りやすい雰囲気をつくったり、声掛けをして素晴らしい環境をつくってくれた人。(引退は)寂しい思いもある」

 アカデミーで育った選手なら、誰もが憧れの気持ちを抱いており、それぞれが思い出のエピソードを持っている。それが川崎一筋でスパイクを脱ぐ決意を固めた中村憲剛という男だ。

「川崎でプロになること」を夢見てサッカーに励んできた早坂は、大学サッカーに舞台を移した今もプロ入りへの夢を諦めることなく、真っ直ぐに成長を遂げている。「目の前の1試合1試合全力でやっていきたい」。それが夢への扉を開くことにつながると信じて。