コロナ禍の最終学年、立正大の“守備のスペシャリスト”梅村豪は「自分を超えていきたい」

[JR東日本カップ2020第94回関東大学サッカーリーグ戦1部・第15節(10月31日)/立正大学 2-1 中央大学]

取材・文=柿崎優成

「最後までやり続けることによって、自分を超えていきたい」

 立正大学のMF梅村豪は大学サッカーからプロに行く目標を諦めてはいない。

 清水エスパルスユースから立正大に入学した当時、チームは東京都1部から関東大学リーグ2部に昇格したばかりで、1年目から出場機会を得た梅村はチームの歩みとともに成長を遂げてきた。2018シーズンに関東大学リーグ1部昇格を果たし、昨シーズンはリーグ3位、「アミノバイタル」カップ準優勝、総理大臣杯ベスト8、インカレベスト8。飛ぶ鳥を落とす勢いで飛躍したチームにおいて、梅村は“守備のスペシャリスト”として欠かせない存在となった。

 立正大の杉田守監督は梅村の成長ぶりについて「ボールを奪ったり、インターセプトする能力はレベルが高くなってきた。大学の激しいフィジカルコンタクトやスピード感のなかで増してきた」と目を細める。ボランチの選手の中では、身体の線が細いのは否めない。それでも俊敏性を生かしたボール奪取や、「縦パスを消すこと」と梅村自身も自信を持つ“予測能力”こそ、彼が重宝され続ける要因となっている武器である。

 大学を経てプロになるためには、最終学年である今シーズンが勝負の年。就活に見切りをつけ、サッカーに専念することにした。しかし、今シーズンは新型コロナウイルス感染拡大の影響により、リーグ戦は開幕が遅れ、開幕後も予定どおりに試合が消化されない状況が続いている。全国大会は毎年、夏と冬に開催されるが、今シーズンは一つの大会に統合される形で来年1月に行われることとなった。

「コロナの状況で自分のイメージとは違った形になってしまった。プロになることは今の段階では難しいけれど、サッカーに関わっていきたい気持ちは強いし、最後までやり続けることによって自分を超えていきたい」

 清水ユースからともに立正大に進学したMF平松昇は湘南ベルマーレへの加入が内定し、すでにJリーグデビューも果たした。また、清水ユース時代の同期である立田悠悟の活躍は「今でも気になっていて、エスパルスの試合は観ている」という。「近くにいる仲間の活躍」に刺激を受け、夢を諦めずに追い続けている。

 夢を実現させるためには、大学で結果を残すこと。「昨年は全国で2回ともベスト8止まりで、悔しい気持ちが残ったまま」という全国舞台でのリベンジを誓う。予選を兼ねるアミノバイタル杯は第5代表決定戦で東海大学に敗れてしまったため、リーグ戦上位4枠での出場を狙う。

 通常のリーグ戦に加え、前期に延期した試合を含め立正大は未消化試合が多い。「中2、3日で試合をすることが今まであまりなかったので、体調管理やケアは普段以上に心掛けている」という梅村は、大学卒業後もサッカーキャリアが続くよう、異例の形で進むシーズンにおいても“今できること”に全力を注いでいる。