取材・文=柿崎優成
アグレッシブな守備と縦に速いサッカーを志向する駒澤大学で、異色の存在感を放つ選手がいる。推進力のあるドリブルで“技巧派”としての能力を発揮するMF荒木駿太だ。さらに荒木はスペースを見つけて走り込んだり、サイドから攻撃の形を作ることにも特徴を持つ。
昨シーズンはセカンドトップのポジションを主戦場として6得点9アシストを記録。チーム全体で挙げた45ゴールのうち、得点とアシスト合わせて15点に関与した。アシスト「9」はリーグトップの数字だった。
迎えた大学4年の今シーズン、荒木は3月に行われた『第35回デンソーカップチャレンジサッカー熊谷大会』で関東C・北信越選抜に選ばれた。Jクラブスカウトの“見本市”と位置付けられる同大会でアピールしたいところだったが、コンディション不良により出場は関東A選抜との決勝戦のみ。しかし、試合には敗れたものの、荒木は先制点を決め、限られた出場時間で爪痕を残した。
4月3日、法政大学との関東大学サッカーリーグ戦1部リーグ開幕戦。2ボランチの一角として起用された荒木は、FWとボランチの中間ポジションで自由に動き回った。秋田浩一監督(駒澤大)に求められている「スペースに走って裏に抜ける」動きを体現し、パスの出し手に合わせて両サイドのスペースに走り込み、相手守備陣を揺さぶった。
FW宮崎鴻とFW土信田悠生の空中戦の強さを活かすため、荒木は鋭いクロスボールを供給しチャンスを窺ったが、得点には至らず。後半に3失点目を喫した駒澤大は、70分にFKからDF猪俣主真のヘディングシュートで一矢報いたものの、1-3で黒星スタートとなった。
「先制されて焦りが出て、前半は駒大らしくなかった。巻き返せるチーム力が今日はなくて、次節への課題」。荒木は悔しさを口にした。
駒澤大は昨シーズンまで薬真寺孝弥(現FC ティアモ枚方)が攻守の要としてチームを牽引していた。荒木にとっては長崎総科大学附属高校時代からの先輩だ。「(薬真寺は)高校の時から上手くて、攻守に強度が求められる駒大のサッカーの中でも落ち着いたプレーをしていた」(荒木)。その薬真寺は昨シーズンのリーグ戦で得点王を獲得し、アシスト王の荒木とそれぞれ個人賞に輝いた。
今シーズン、荒木は“先輩超え”を目標に掲げている。「リーグ戦は長いので、ここから得点王とアシスト王、両方狙っていきたい」。大学ラストイヤーの始まりに、力強く意気込んだ。