取材・文=柿崎優成
筑波大の2年生エースが復活をアピールした。FW森海渡は第7節の法政大学戦で今シーズン初先発を果たし、シーズン初ゴールをマーク。指揮官の起用に応えた。
第6節の桐蔭横浜大学戦で今シーズン初めてメンバー入りすると、後半開始とともにピッチへ。これが約9カ月ぶりの実戦復帰だった。3日後の12日に行われた順天堂大学戦では後半途中から出場。3連戦のなかで実戦をこなしながらコンディションを整え、ようやく先発の座に返り咲いた。小井土正亮監督も「(出場時間は)60分くらいかなと話していたら、80分までやってくれた。心強い選手が戻ってきてくれてうれしい」と信頼を寄せる点取り屋の帰還だ。
この日は15時キックオフの試合。暑さに加え、チームとしては3連戦の3試合目ということもあり、選手たちの動きが重い時間帯もあった。なかなかチャンスを作り出せないなか、28分にFKから頭で得点をマーク。「復帰後初スタメンで『ゴールを取る』という強い気持ちを持って入った。自分はヘディングが得意ではないけど、そういう部分で点を取れたのは収穫。自信になる」(森)。相手DFからは森に警戒する声が飛び交っていたが、執拗なマークをかいくぐって決めきったところにストライカーとしての才能を示した。
昨シーズンは1年生ながら開幕戦でスタメン出場を飾り、ハットトリックを達成するという鮮烈な大学デビューを果たした。その後も得点を重ね、1シーズンで8ゴールを挙げて新人賞を受賞。また、昨年9月にはU19全日本大学選抜に選出され、アジア大学サッカートーナメント大会に臨むなど、年代屈指のストライカーに成長した。そんな矢先の11月に前十字靭帯を負傷。長期離脱を強いられた。
リハビリ生活では「身体を強くしたいと思って、筋トレに力を入れた。さらに食事も改善して、身体に気をつけた」とできることが限られるなかで、強化に励んだ。そうした努力が“スタメン復帰戦でゴール”という結果に結びついたのだろう。
しかし、法政大戦は2-2のドローに終わり、森は「点は取れたけど、勝てなかったことが悔しい」と唇をかんだ。チームは3試合勝ちなしと不振に陥っており、小井土監督も「昨年のように得点を量産してほしい」と森に寄せる期待は大きい。「ゴール前のクオリティを高めていきたい」と語る森が攻撃のバリエーションを増やし、上位浮上のキーマンとなる。