開幕2連勝の流経大、中野監督が「天性の感覚」と評価する齊藤聖七にブレイクの兆し

[JR東日本カップ2020第94回関東大学サッカーリーグ戦2部・第2節/流通経済大学 2-0 日本大学]

取材・文=柿崎優成

 流経大は日大を2-0で下し、開幕2連勝と順調なスタートを切った。インテンシティの高さや展開の速さなどで相手を圧倒する場面を多く見せた中、中野雄二監督は「課題が残った」とあえて厳しい言葉を口にした。

「前半に2点目が入ったことで気持ちが楽になった。ただ、前節同様に強風がナーバスな問題になり、センターバックの裏の処理やGKとの連携ミスなどから相手に決定機を作られた。今日はGKの鹿野修平が防いでくれたため無失点で終わったけれど、前節は失点しているし、今日も場合によっては同点になっていたかもしれない。そういった細かい部分を突き詰めていかないと、今後は勝ち点を落としてしまう可能性がある。確実に勝てるチームになるためには、選手個々の部分ではまだまだ課題が残った」

 31分までに2点のリードを奪った流経大は、その後も何度か決定機を迎えながら、勝負を決定づける3点目を奪うには至らなかった。しかし、長いリーグ戦を戦う上で堅実なチームづくりを目指す指揮官は、「3点目を取ることよりも、勝ち点3を積み上げていくことが重要」ときっぱりと述べる。この日のベンチワークについては、「何が何でも3点目を取るという考えはなく、もし1点返された場合、ピッチに立つ選手たちがどういう精神状態でプレーをするのか見たかった」と狙いを明かした。

 その結果が2-0の完封勝利。「特に昨シーズンから試合に出ている選手たちは、思うようにいかない場面でも精神的に落ち着いてきた。だから、3点目が取れなかったことよりも、“2-0のゲーム”をしっかりできるようになったことが良かったと捉えている」と選手たちの成長に一定の評価を下した。

 中でもブレイクの兆しを見せているのが、2試合連続で2ゴールをマークしている齊藤聖七だ。2年生ながらチームに欠かせないピースとなりつつある彼について、指揮官は1年時からの変化に目を細める。

「昨シーズンは力強さの面で、大学のレベルではひ弱さを感じた。しかし、シーズンオフにクロアチアへ留学に行かせ、年齢とともに身体の使い方が仕上がってきている。持ち味の動き出しやプルアウェイの仕方は天性の感覚。2得点はこのレベルで普通にできている証拠であり、成長を感じる」

 1年での1部リーグ復帰を目指す今シーズンの流経大は齊藤をはじめ、主力メンバーの大半が2、3年生で構成されていることからも、今後の伸びしろを十分に感じさせる。“昇格最有力候補”のプレッシャーに打ち勝ち、結果を残し続けることができるか、注目だ。