取材・文=柿崎優成
6月27日、『高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ2021 EAST』第8節が行われ、清水エスパルスユースはアウェイで市立船橋高校と対戦した。
清水ユースは5月23日の第7節・青森山田高校戦以来、約1カ月ぶりの公式戦だった。本来、リーグ戦中断期間に『第45回日本クラブユースサッカー選手権』の出場権を懸けて東海地区予選に臨む予定だったが、中止に。約1カ月間、静岡県内で高体連のチームや近隣のJクラブユースと試合を行い、試合勘を保ってきた。
「大会が中止になっても活動ができるので、週末はトレーニングマッチを組んで止まることなく活動できました。先週末はジュビロ磐田U-18と試合をして、ジュビロさんもWESTリーグで延期した試合が多く、『拮抗した試合がしたい』という思いが一致して、良い試合ができました」(岩下潤監督)
この試合に向けて「青森山田戦を基準に練習から取り組んできた」と主将のMF鈴木奎吾が言うように前節、青森山田に1-3で敗れた清水ユースにとっては、首位追走のためにも勝利が求められる試合だった。
序盤は市立船橋が志向する、前からプレスを掛けて縦に速いサッカーに苦戦し、なかなか攻撃の形を作れず苦しい時間が続いた。自陣でパスミスを拾われロングシュートでゴールを脅かされたが、シュートは枠を捉えられず難を逃れる。
拮抗した展開のなか、28分に試合が動いた。DF和田晃生のミドルシュートが相手DFに当たり、鈴木が拾ってMF畠中勇士朗とパス交換。鈴木が巧みなターンから鋭いシュートを放つと、ボールは相手DFに当たってゴールネットに吸い込まれ、清水ユースが先制点を挙げた。
「攻撃の時に2列目で動くことが有効と思っていたので、そこで点が取れて良かった。得点すれば流れが良くなると思いました」と鈴木が言うように、清水ユースは先制後から徐々にペースを握り始めた。攻撃のベースとなるディフェンスラインのパス回しのスピードも上がり、鈴木とボランチを組むMF山田理矩が前線に顔を出したり、両サイドにボールを振ることで攻撃がスムーズになった。
「前から来るなかで相手の勢いを借りて剥がすとか、そういうプレーは得意としていて発揮できた。セカンドボールも全部拾えたわけじゃないけど、意識的に拾うことができるようになりました」(山田)
40分には右CKの二次攻撃からFW千葉寛汰がシュート。相手DFに当たった浮き球をDF菊池脩太が競り勝ち、こぼれ球を山田が左足でニアサイドに叩き込んでリードを広げた。
「ボランチは攻撃を組み立てること以外に得点も大事だと思っています。浮き球の時に菊池選手が競り勝つと思って、こぼれ球を狙っていました」(山田)
「3点目を狙っていくこと、質の部分にこだわろう」(鈴木)というハーフタイムの話し合いから、清水ユースは後半に入っても流れを渡さなかった。
最初のチャンスで千葉が左サイドからのドリブルでゴールへの意識を見せれば、CKの二次攻撃からはMF金子星太がGKと一対一の場面を迎え、得点の気配を感じさせた。すると60分、CKにファーサイドから千葉が右足で合わせて3点目を奪取。千葉はシーズン8得点目で、得点ランク単独トップに立った。
その後、途中出場のMF渡邊啓佳がドリブルを仕掛け、クリアミスを拾った山田が1人かわしたところで倒されPKを獲得。しかし、千葉のPKは市立船橋GK田中公大に止められ追加点とはならず。終盤、一矢報いようと攻めに出てきた市立船橋の攻撃に対しては、菊池とDF田端琉聖を中心に守り切って試合終了。清水ユースは3-0の完封勝利を収めた。
鈴木は「入りが悪かったけど、上手く守って立て続けに2点取れたことが良かった。後半も失点せず、追加点を取れた」と収穫を述べたうえで、課題も口にした。
「前から来る相手に対して、上手くボールを前進させてゲームメイクすることを課題にしている。そこはまだまだレベルアップしていかなきゃいけない。自分が中心となって攻撃すれば、攻撃が楽になると思う」(鈴木)
次節はアウェイで横浜FCユースと対戦する。昨シーズン、関東のチーム限定で行われた『プレミアリーグ2020関東』の優勝チームだ。岩下監督は、「ペナルティエリアに侵入する際の質やプレーの選択肢は、練習から強化しているけどまだまだ工夫が足りていない。最後の部分で引っかかっているシーンも多かったので、精度を上げていきたい」と次節に向けて気を引き締めた。