3得点の筑波大が今季初勝利…小井戸正亮監督は「収穫半分、反省半分」

文=柿崎優成、写真=藤井圭

 JR東日本カップ2020第94回関東大学サッカーリーグ1部の第5節が8月1日に行われ、筑波大学と専修大学が対戦した。

 開始早々から主導権を握ったのは筑波大だった。5分、専修大DFのパスをカットしてFW和田育がドリブルで侵入。味方の上がりを確認して送った低いクロスボールをMF加藤匠人が流し込み、先制に成功する。18分にはリスタートからMF小林幹が中央突破し、左サイドに流れていた和田がペナルティエリア付近からカットインしてシュート。クロスバーの跳ね返りを小林が押し込み、早くも筑波大が点差を広げた。

 前節に続く複数失点を喫し、「メンタルが後ろ向きになってしまった」(高崎康嗣監督)という専修大にチャンスが訪れたのは23分。MF林一輝が浮き球のパスをFW吉田和拓に送り、ディフェンダーを背負いながらシュートを放ったが、これは飛び出してきた筑波大GK高山汐生に阻まれた。

 すると43分、筑波大がさらにリードを広げる。自陣でのインターセプトに成功し、カウンターを仕掛けると、MF井川空がMF山原怜音の上がりを見計らってスペースにパスを送り、クロスに合わせたのは和田。自身がストロングポイントに挙げている「ディフェンスの背後への抜け出し」を狙い続けていた和田が、再三逃し続けていたチャンスをようやくモノにした。「サイドバックが高い位置を取ることは分析していて、ポジションを取りやすかった」と、狙いどおりの得点であったことを明かした。

 前半だけで3得点を挙げた筑波大。小井土正亮監督は、シーズン初戦となった前節・明治大学戦での敗戦(0-3)を受け、「今週のトレーニングは非常に良いテンションでやってくれていたので、今日のような試合ができると思った」と選手たちの奮起を予見していた。

 しかし後半に入ると、「3失点して吹っ切れた」(高崎監督)という専修大が反撃を開始する。51分、MF清水綾馬が相手DFを引きつけ、DF中矢裕貴にパス。受けた中矢はダイレクトでクロスを送り、途中出場のFW村上千歩がシュートを打つも、GKに弾かれる。そのこぼれ球を同じく途中出場のMF鳥羽隼が狙ったが、シュートは枠を逸れた。「後半から出てきた選手がよくやってくれて良かった」と高崎監督が振り返ったように、専修大は途中出場した選手の躍動が目立った。58分に起用されたMF坂西望は豊富な運動量とディフェンスラインの裏への侵入で攻撃に厚みを加えた。67分から出場したFW遠藤翔太は献身性を発揮し、シュートチャンスを演出した。

 後半だけで8本のシュートを放った専修大だったが、結局、得点を奪うには至らず。3−0のままスコアは動かず、筑波大が勝利した。試合後、小井戸監督は「後半にリズムを崩してしまった。収穫半分、反省半分」と振り返った。新型コロナウイルスの影響により長らく実戦から遠ざかり、チームづくりに苦戦している状況について、「これまで練習試合ができず、戦い方すら決まっていない状況なので、試行錯誤しながらやっていきたい」と胸中を露わにした。

 一方、敗れた専修大の高崎監督は「前半が全て。逆境に打ち勝つことが必要」と失点した時のメンタル面の改善を課題に挙げた。

 今シーズン初勝利した筑波大学は次節、桐蔭横浜大学と対戦。敗れた専修大は国士舘大学との一戦で連敗脱出を目指す。