文=柿崎優成
トップチーム昇格が決まっているDF菊地脩太とFW千葉寛汰はユースで戦う最後の試合のピッチに立った。
逆転優勝の可能性が残る試合前日に清水エスパルスユースOBで現トップチーム所属の滝裕太から自らの経験を基に「優勝のプレッシャーから伸び伸びとプレーできなくて悔しい思いをしたから、楽しくプレーしよう」と激励のメッセージを受けて最終戦の流通経済大学附属柏高校戦に臨んだ。
慣れ親しんだ鈴与三保グラウンドでの試合は「硬さが出てしまった」(菊地)と振り返るように、自分達の力を普段通り発揮するには至らず1−1の引き分けで最後の試合を終えた。
「もうちょっとやれたなって後悔と普段なら積極的にできている事ができなかったです」(菊地)
「優勝できなくても勝てば笑って終われたので引き分けの結果は残念です。何より仲間たちとサッカーできなくなるのは寂しいです」(千葉)
今シーズンが始まる前チームの目標は「プレミアリーグ残留」だった。
「大きなものを描いてなかった自分たちが優勝争いできたことは素晴らしい経験でした。みんなの頑張りあってだと思います」(千葉)
悲願の初優勝とは、ならなかったが開幕5連勝スタートや後半戦の7連勝で勝ち点を積み重ね13勝2分3敗、勝点41の成績はプレミアリーグ参入後、過去最高の成績だ。
また個人の成績に目を移せば千葉はプレミアリーグEASTで他を寄せ付けない「18得点」を記録して得点王になった。得点王という称号をを得た反面、プロの世界では「正直通用しないと思う」と毅然と話す。
ジュニアユース時代に現3年生の指導に携わった小野木玲コーチは「ユース出身の選手として軸になって活躍して欲しい」と2人にエールを送る。また伊達倫央アカデミーダイレクターも「最初は難しいかもしれないけどエスパルスの魂を背負いながら活躍できるように頑張って欲しい」と発破をかける。
共に戦った仲間と再会するときはプロの舞台になるだろう。トップチームに昇格する選手には昇格が叶わなかった仲間の想いを背負ってプロの舞台で奮起することが求められる。一方でユースに上がれなかった選手は彼ら2人を見て今以上に頑張ろうと必死になる。切磋琢磨した関係が続いていけば近い将来プロの舞台で再会する可能性だってある。生まれも育ちも清水の彼ら2人に期待を寄せてるサポーターも多いに違いない。
「ジュニアユースの頃からチームの軸になれと指導受けてきてトップチーム松岡(大起)選手みたいに若い選手がチームの中心になる選手を目指していきたいです」(菊地)
「エスパルスで2人が活躍することでアカデミーの選手に希望を与えると思います。強いエスパルスを作っていく軸になろうと脩太と話していて自分はエースとして点を取って脩太は守りの面で貢献します」(千葉)