文=藤井圭、写真=Haruno
昇格するには負けられない一戦で東洋大学のキャプテン・土田直輝がチームのため、そして負傷で離脱した仲間のために堅守を貫いた。
3位・関東学院大を勝ち点差3と追走する東洋大にとって今試合は、昇格争いにとどまるために勝利が至上命題だった。2試合連続無失点の守備陣を牽引する土田がこの試合でも身体を張った守備でチームを鼓舞した。
9分には関東学院大が左サイドのクロスからシュートを放つも、土田が身を投げ出してブロック。ボールは土田に当たり難を逃れた。東洋大は前半に挙げた1点を守り抜いて3試合連続の完封を達成。前節に続く1ー0のスコアで勝利し連勝を飾った。
土田は試合後、チームの守備について「ディフェンス陣だけでなく、前の選手からの守備をチーム全員ですごく意識できている」と振り返った。東洋大はこの試合、特に後半はFWの選手が前から積極的にプレスをかけてボールを奪取し、カウンターで攻め込むという場面が多く見られた。追加点こそ奪えなかったものの、多くのチャンスを創出。プレスをかわされて攻め込まれたとしても土田を中心とした守備陣が最後までゴールを許さず。東洋大の井上卓也監督も土田主将について「ゲームを読む力、チームを動かす力、コーチングが長けている。後ろから上手く舵取りをしてくれている」と高い信頼を口にした。
またチームには昇格争いとは別に負けられない理由があった。集合写真では2着のユニフォームが掲げられ、東洋大のベンチにはそのユニフォームが掛けられていた。この6番と19番のユニフォームはけがによって今シーズン中の復帰が厳しい長澤昂輝と小林粋の2選手。チームはこの2人のためにも勝利するという気持ちがより高まった。
「みんなで一緒に戦っているという気持ちを忘れてはいけない。その気持ちを背負って臨むということで2人のユニフォームとともに集合写真を撮った。いつもチームに貢献したいという気持ちは伝わっているし、チーム全体で感じ取れている。2人の気持ちも試合で表現しなければいけない」
両選手の思いを背負ってチームは戦っている。土田は主将としてその中心に立って守備を牽引。仲間の思いを原動力に堅守を続けている。
「僕たちの目標は1部昇格。本当にまだまだわからない状況で誰も諦めていない。昇格を手繰り寄せるためにも勝ち続けるしかないので、1試合1試合全力で戦い続けたい」
東洋大のメンバーは誰一人として昇格を諦めていない。チームの目標である昇格のため、志半ばで戦う道を閉ざされた仲間の思いのために――。4年前に昇格を決めた時も、勝負を決したのは最終節の後半アディショナルタイムだった。最後まで諦めない気持ちが東洋大を1部へと導く。その歓喜の中心に立つ男は土田直輝だ。