取材・文=柿崎優成
高円宮杯プレミアリーグEAST第17節、清水エスパルスユースはIAIスタジアム日本平で市立船橋高校と対戦。清水ユースは前節アウェイで青森山田高校に2-0で勝利して逆転優勝に希望を繋ぎホームに帰ってきた。
6連勝を懸けた試合は前半10分に左サイドで起点を作るとMF山田理矩のクロスにFW千葉寛汰がフリーで合わせて先制する。追加点を目指したいところだがプレミアリーグ残留を目指す市立船橋の攻撃に手を焼くシーンが多く、守備に回る時間が多くなる。
「市立船橋さんは残留が懸かっていて前から来るぞと試合前に話していました。相手の勢いに飲み込まれないように粘り強く対応できたのは良かったです」とCB田端琉聖が言うように、気の抜けなち時間が続く。
試合は1−0で清水ユースが完封勝利。逆転優勝に向けて必須の3ポイントを掴み逆転優勝に向けて望みを繋いだ。
「立ち上がりは悪くなかったのですがボールが持てた時に急激に判断やギアが下がった形が続いてどんどん流れが悪くなりましたが勝利した中でも良い教訓になる試合だった」と岩下潤監督は試合を総括。
リーグ最多の41得点力を誇る一方で僅差の試合が続く中で守備陣の奮闘が光る。3試合連続完封勝利を収め大きく貢献した田端は
「後半押し込まれる時間か続く中でキク(DF菊地脩太)とアツキ(GK中島惇希)と“絶対失点しないぞ“と常に声かけ合ってチーム全体にプレーや声で示せた結果です。タフな相手が続くので一喜一憂せず準備していきたいです」とコメントした。
岩下監督も守備陣について「以前だと下がって打たれてゴールされたり、ディフレクトして失点というシーンがありました。間合いを詰めて打たせなかったり、前に弾くと言う事が共有できていて周りもそれに反応してボールを拾えている事が大事です。試合だけでなく日常から積み上げていくところなので年間通してレベルが上がっているところです」と成長に目を細める。
市立船橋戦は守備に追われる時間が長く、両サイド深くからクロスを上げられるシーンや中に侵入されるシーンが多くその対応に追われた。それでも焦る事なくヘディングで返したり大きなクリアで難を逃れゴールを遠ざけた。この試合に限らず空中戦の対応、ビルドアップの時のパスの質など試合を追うごとにクオリティを高めていることが伺える。
その一因として田端は試合映像の振り返りを欠かさず行いプレー分析に励んでいる。
「映像見て良かったシーン、改善するシーンをインプットしてから試合に臨んでいて自信になっています。ステップワークとかシュート打たれる前にコースに入ったりボールに足出したり徹底できていること。対峙するFWの能力を頭の中で整理して自分の間合いを掴めるようになりました」
このような陰の努力が身を結び今に至るまで守備の要として成長を遂げてきた。
センターバックを組む菊地とはジュニアユースから6年間センターバックを組んだ関係だ。2人揃ってトップチーム昇格とは、ならなかったが長い関係から「互いにプレーの特徴を知っていて阿吽の呼吸でできているところもあってカバー入った方が良いとかここなら止めてくれるという共通意識があってビルドアップでもパスの出し方とか細かな部分で気遣えるのが長年の成果と思います」と確かな手応えを示す。
田端は大学進学の道を歩むが「大学行く前から努力して1年生でもやれるという姿勢を見せていきたい。4年後キクと組めるように頑張りたいです」と先を見据える。
清水ユースが次節対戦する横浜FCユースは前回対戦で嫌な思いをした相手だ。前半で3-0と一方的な試合展開を披露するが後半に勢いづいた横浜FCユースの勢いを止めることが出来ず3-4の逆転負けを喫した。後のクラブユース選手権の決勝トーナメント1回戦で1−0で勝利するも田端は強く意識している相手と称して逆転負けのリベンジに燃えている。
「前回対戦した時に失点に絡むパスミスをして絶対負けたくない相手です。ホームで素晴らしい雰囲気を作ってくれるサポーターがいるので来てくれた方に結果で示したいです」
清水エスパルスアカデミーの選手にとっての憧れの舞台IAIスタジアム日本平で行う試合は次節が最後。ホームの後押しを受けて逆転優勝に向け残り2試合、真価が問われる。