浦和内定・流経大MF宮本優太、「自分のポジションを100%で」…先輩・伊藤敦樹が示した道

取材・文=藤井圭

 今年の『デンソーカップチャレンジサッカー大会』は関東選抜Aの優勝で幕を閉じた。優勝に貢献した宮本優太は、来シーズンからの加入が決まっている浦和レッズのキャンプで受けた刺激を糧に、流通経済大学でのラストイヤーを迎える。

 宮本は全4試合中3試合に出場し、右サイドバックとして強靭なフィジカルと、絶えずアップダウンを繰り返しても落ちないスタミナで対面する相手を完封。出場した試合ではゲームキャプテンも務めた。この大会は各大学から選抜された選手たちが5日間で4試合という過酷なスケジュールをこなす。コロナ禍で密にコミュニケーションが取りづらい中でも、キャプテンとして選手間でできる限りのことを尽くした。

「ミーティングの時は全員に話を聞くようにした。田部井涼(法政大)も一緒に前に出て、二人で話し合ってミーティングをまとめる形。涼の力も借りてうまく全員とコミュニケーション取りながら、チームが一番良い方向に向くように二人で意識づけていった」

 時間など多くの制限がある中、自らが選手の前に立ってチームメイトたちと積極的にコミュニケーションをとり、相手の特徴を把握していった。また、試合中でも90分間をとおして全体や選手個々に声を掛けてチームを鼓舞。その結果、技術力以外の部分でも勝り、優勝を手にした。

“声を出す”という意識は、デンチャレの前まで参加していた浦和のキャンプでも培われた。

「常に日本代表に呼ばれていた阿部(勇樹)さん、マキ(槙野智章)さんとかが練習で一番声を出していた。そういった部分も見習わなければいけないと思って、90分間声を出し続けることを意識した」

 練習から積極的に声を出してプレーするベテラン選手たちの姿に、強い影響を受けた。なかでも宮本にとって身近で大きな存在は、今シーズンから浦和へ加入し、開幕スタメンの座をつかんだ流経大の1学年先輩・伊藤敦樹だった。

 宮本は流通経済大柏高校時代、ボランチでプレーし、3年時にはインターハイ制覇も経験したが、現在、流経大では右サイドバックを務めており、浦和や関東大学選抜Aでも同ポジションで地位を固めている。宮本は自らのポジションについて「与えられたポジションで役割をこなせばチームの勝利につながり、自分の評価を上げることにつながる」と、ポジションへのこだわりよりもチームへの貢献に意識を向けている。

 先輩・伊藤も浦和レッズユースではボランチだったものの、流経大でサイドバックやセンターバックを経験。現在はボランチとして浦和でプレーしている。

「敦樹くんと1カ月半、レッズで一緒にやらせてもらって、敦樹くんもセンターバックとサイドバックやったからこそ身についた良さがあり、それにプラスして本人の頭の良さもある。それらがレッズで評価されている。自分も流経大や選抜ではサイドバックをやらせてもらっているけど、ボランチをやらせてもらった時も自分の評価を上げられるように、ポジションを100パーセントでこなすことが敦樹くんみたいになる一つの道かなと思う」

 与えられたポジションを100パーセントでこなす。伊藤もDFとしての経験を大学で培い、リカルド・ロドリゲス新監督のスタイルに順応して開幕スタメンを勝ち得た。身近な先輩が示した道を、宮本も進んでいく。

 そのために、まずはキャンプで得た多くの刺激を大学で活かし、良いパフォーマンスを発揮してチームの勝利に貢献する。そして、積極的にコミュニケーションをとり、成長を続ける。サイドバックでもボランチでも代表級の選手たちが多く揃う浦和でポジションを勝ち取るために。宮本の挑戦はすでに始まっている。