アミノ杯初戦敗退の悔しさを糧に…「対人プレーの強度を上げた」国士舘大が後期開幕戦で完封勝利

[JR東日本カップ2020第94回関東大学サッカーリーグ戦1部・第12節(10月10日)/国士舘大学 1-0 立正大学]

取材・文=柿崎優成

 10月10日、豪雨が降りしきるなかで関東大学リーグ後期戦が始まった。前期リーグを5位で折り返した国士舘大学は、2カ月ぶりにリーグ戦に復帰した立正大学と対戦した。

 先制点は30分、立正大のCKを防ぎ、カウンターを仕掛けた。MF澁谷雅也のパスはカットされるもMF高橋尚紀が拾い、逆サイドの後方から駆け上がってきたDF中村駿へ。冷静に流し込んだ中村は、「自分はディフェンダーですけど切り替えの部分を一番意識していて、自分のスピードが活きて良かった」と決勝点となったゴールシーンを振り返った。

 この試合で国士舘大はプレー強度を高く保ちながら試合を運び、立正大に決定機を与えなかった。原動力となっていたのは、9月26日から行われた『「アミノバイタル」カップ2020第9回関東大学サッカートーナメント大会』での早期敗退だ。国士舘大は1回戦で作新学院大学を相手に前半で2得点を挙げるも、その後同点に追いつかれ、PK戦の末に敗戦。カテゴリーが2つ下の相手に敗れたことで、チーム内に危機感が芽生えた。

 中盤で舵を取るMF綱島悠斗は、「アミノバイタルカップで思うような結果を残せなかった。だから後期リーグで力を入れてやっていきたいと思っていて、今日は結果を残せて良かった」と安堵し、「対人プレーの強度を上げたことと、ハードワークの部分」を勝因に挙げた。

 実際、試合終盤に入ってもチーム全体の運動量が落ちることはなかった。テクニカルな選手が前線に多い立正大に対して一歩先に足が伸びたり、空中戦で身体を寄せる速さなどで上回り、この一戦に懸ける思いをピッチに立つ選手たちがプレーで見せた。綱島もまた、相手のパスコースを遮るポジショニングや奪ったボールをドリブルで運び攻撃につなげる動きなどで攻守において躍動した。

 試合終盤は立正大の猛攻を浴びたが、集中した守備で持ち堪えて完封勝利。ホイッスルと同時にピッチ上の選手たちは喜びを爆発させた。「前期は集中力を欠いてしまうことが課題だったので、後期初戦では集中を切らさず無失点で抑えられて良かった」と中村。細田三二監督は「前期は焦らなくても良い場面で慌てて飛び込む場面が多かった。しかし、今日は踏ん張ってくれた」と守備陣の奮闘を称えた。