取材・文=柿崎優成
清水エスパルスユースにとっては前節、流経大柏戦の教訓を活かした試合になった。
「流経大柏戦では相手のプレスに圧倒され、何もできなかった。そこに悔しさを感じていたので、前節で学んだことからトレーニングでプレスの掛け方を修正して、今日は良い形が作れた」
そう試合を振り返ったのはFW千葉寛汰だ。
立ち上がりから主導権を握った清水ユースは、両サイドを起点に攻撃チャンスを作った。クロスボールを上げることはできても、なかなかゴール前で合わない展開が続いていたなか、先制点は28分に生まれた。左サイドからのクロスが流れ、右からDF石川晴大が折り返しのクロスを上げると、最後は千葉が頭で合わせた。
「練習から『こういうボールが欲しい』と要求していて、自分がゴール前で駆け引きして、上手く合わせることができた」(千葉)
ボールを奪われても即座に奪い返し、マイボールにする。攻め急がず、落ち着いてボールを回す時もあれば、縦に楔のパスを入れてからサイドに揺さぶってアタッキングサードに侵入するなど、前半はハーフコートに近い試合を展開し、1点リードで折り返した。
迎えた後半、清水ユースは早い時間帯に追加点を決めた。57分、千葉のパスから相手DFの背後に抜けたMF安藤阿雄依が流し込んでゴールを奪取。さらに64分、ディフェンスラインからつないでくる浦和ユースのパスをカットしたFW斉藤柚樹からショートカウンターを発動させると、MF山田理矩のパスを受けた千葉がDFを背負いながら左足を振り抜き、この試合2点目を決め、勝負を決定づけた。
「ターンして右で打とうとしたけど、相手DFの動きを見て左に持ち替えて、コースが見えたので思いきり振り抜きました。良い形でゴールができて良かった」。千葉は快心の笑顔でリザーブメンバーに駆け寄り、喜びを表した。
その後、清水ユースは得点こそなかったものの、攻撃のスイッチを切らすことなく多くの時間を相手陣内でプレーした。また、時間の経過とともに浦和ユースDF陣の息が上がるほど、運動量を落とさず強度の高いサッカーを展開。3-0で快勝し、開幕4連勝を飾った。
勝利の立役者となった千葉は1年時からプレミアリーグに出場しており、年代別代表経歴も持つ。しかし、昨シーズンはケガの影響もあって思うようなプレーができず、苦しんだ時期もあった。3年生となった今シーズン、得点源として期待が掛かるが、「自分は『何もない選手』として、チャレンジャーの立場だと思ってスタートしている。だから、プレッシャーとかは一切感じていないし、上に行くためにもっとやらなきゃいけない」。矢印を向けるのは自分自身。期待をプレッシャーとして捉えず、自然体で戦うことで、3試合連続ゴールという結果に結びつけている。
アウェイ2連戦を終え、次節からホームに戻っての戦いが控えている。5節の柏レイソルU-18戦、6節のFC東京U-18戦の会場は、トップチームの本拠地であるIAIスタジアム日本平だ。かつて清水に所属していた岡崎慎司(ウエスカ)に憧れ、プロになることを夢見た千葉は、「アイスタで(今シーズン)7回も試合ができることは、当たり前じゃない。アドバンテージを感じるし、感謝の気持ちや絶対負けてはいけない気持ちを持って、勝ちにいきたい」と必勝を誓った。