取材＝柿崎優成
再三浴びた流通経済大学附属柏高校のシュートに、清水エスパルスユースのGK福井レオナルド明が立ちはだかった。
「相手の圧を上回るぐらい、シュートを止めようって気持ちがあった。『俺がちゃんと守るよ』っていうところをフィールドの選手たちに見せられたと思う」
開始早々から福井の活躍が目立つ展開が続いた。両サイドから揺さぶってチャンスを窺う流経大柏に攻め込まれたが、シュートはことごとく福井が阻止した。リスクマネジメントを怠らない福井は、「押し込まれてもマインドを広く持って、“想定外”をなくすこと」と危機察知能力を武器にしてシュートストップに活かしている。
「広い心」があれば、簡単には動じない。ディフェンダーのクリアミスにも焦らず自ら飛び出してシュートを防いだり、二次攻撃を受けても冷静沈着に対応した。
1点リードで迎えた前半終了間際に同点ゴールを決められ、下を向いてしまう選手もいた中、福井は前向きに気持ちを整えて後半に備えていた。
「アウェイの試合は雰囲気に飲み込まれてしまうところがある。だから自分は“声”で相手を被せるようなイメージで、味方を不安にさせないように心掛けました」
小学生時代から県トレセンで一緒にプレーした仲でもあるMF金子星太は、福井に対して「マインドが強くて、こういうプレッシャーの中でも好セーブを連発してくれるのはとても心強い」と信頼を寄せている。
清水ユースは後半に金子が勝ち越しゴールを挙げ、2－1で勝利した。試合後、福井は守備陣と抱擁を交わした。
プロ入りを目指す福井は、2種登録選手としてトップチームの練習に時折参加している。ある日、練習参加した際に日本代表GK権田修一から大きな刺激を受けた。
「権田さんとマンツーマンで練習したことがあって。権田さんのすごいところは『チーム全体にエネルギーをもたらせること』。自分もそういう選手を目指していきたい」
権田のようにチーム全体にエネルギーと安心感を与え、頼られるGKであるために、福井は持ち味の瞬発力を活かし、シュートストップに磨きをかけていく。
