取材・文=柿崎優成
ガンバ大阪加入が内定している明治大学DF佐藤瑶大は日々自身のプレーを自己分析し、来シーズンの開幕からスタメン争いに絡む努力を怠っていない。
「毎日自分のプレーを振り返る。どれくらいできたのか、プロの試合に出た時にどれくらい通用するのか。自分の尺度で測りながらやっている」
高い志は今シーズン前に参加したG大阪のキャンプで言われた改善ポイントを克服することに起因する。「パスを出して動くこと。まだまだですけど少しずつレベルが上がっていると思います」
明治大では攻撃に重点を置いたトレーニングのなかで課題の改善に取り組んでいる。ディフェンダーながら攻撃の面ではセットプレーの得点源になることを求められ、昨シーズンはリーグ戦で2得点、総理大臣杯で1得点を記録した。しかし、今シーズンはいまだ得点がない。
10月30日に行われた慶應義塾大学戦では数多くあったCKやFKでゴールチャンスを窺うも得点機は訪れなかった。「練習では決めている」と自信を見せつつも、「自分のマークが外れたときにボールが来なかったり、来た時に決めきれなかったり、ズレがあるかなと思う」と冷静に分析し、もどかしさを露わにした。
明治大学は昨シーズン、群雄割拠の関東大学リーグを独走で優勝し、天皇杯東京都予選、「アミノバイタル」カップ、総理大臣杯、インカレと合わせて5冠という偉業を成し遂げた。3バックを採用していたなか、佐藤は昨シーズンから出場機会をつかみ、この快挙に大きく貢献。明治大の栗田大輔監督は「ヘディングが強い。まだまだ甘い部分もあるけど、もっと良くなる」と評価する。
加入先のG大阪もシーズン前は3バックを採用していたが、奇しくも今シーズンは両チームともに4バックを主としている。柔軟な対応力を見せている佐藤は、「(G大阪は)明治のサッカーに少し似ている部分があって、3バックも4バックも違和感はなかった」と戸惑いは少ない。
センターバックの選手層が厚いG大阪で試合に出場することは容易ではない。それでも佐藤は自信を見せる。
「明治でブレずにしっかり取り組んでいれば、ガンバ大阪に行ってもスッと入れるだろうという自信がある。それは過去の先輩たちが示してくれている」
錚々たるメンバーが全国から集まり、毎年多くのJリーガーを輩出している明治大で主力の座をつかみ、活躍してきた実力と経験は今後のプロキャリアでも活きてくるはずだ。来シーズンから待ち受ける厳しいレギュラー争いをはっきりと見据え、佐藤は意欲を高めている。