【対談】平松昇×梅村豪(立正大)後編:同期・立田悠悟が“かまちょ”過ぎる!夢はプロの舞台でユニ交換

 立正大の4年生となった平松昇と梅村豪は、清水エスパルスジュニアユース時代から10年来のチームメイト。スペシャル対談後編では、同期でプロ入りを果たした立田悠悟にまつわるエピソードやお互いのプレースタイル、チームの躍進を支えてきた大学入学後の3年間などについて迫りました。(※取材はビデオ通話にて実施しました)

前編はこちら

悠悟が僕らの代をつないでくれている(平松)

――お二人の同期では立田悠悟選手がトップチームに昇格しました。彼にまつわるエピソードはありますか?
平松 悠悟はとにかく《仲間が大好き》だよね。僕らよりも先にプロの舞台に入ったけど、しょっちゅうみんなに「会おうよ」って声を掛けていて、僕らの代をつないでくれてます。…まぁ、あれは“みんなのため”ってより、単純に自分が寂しがりなんだろうけど(笑)
梅村 絶対、計算はしてない(笑)
平松 “かまちょ”だからさ、純粋に「みんなに会いたい」気持ちを抑えきれないんだろうね。新型コロナウイルスの影響での自粛期間中にも、グループLINEで「今夜、zoom(オンライン通話)やるからね!」ってみんなを誘って、2、3回はやってた。
梅村 だからもう、僕らは年末とかに静岡に帰る時、あえて悠悟には連絡しないんです。で、静岡から埼玉に戻る日に、SNSに「今から埼玉に戻りまーす」って載せる。そうすると「ねぇ、何で静岡にいたこと教えてくれないの?」ってすぐ連絡が来る。
平松 それが僕らなりの悠悟のイジり方です(笑)。もちろん、ちゃんと集まる時は集まりますよ!

――立田選手にプロの世界の話を聞いたりしますか?
平松 自然とそういう話の流れにはなります。悠悟が言ってたのは、「(北川)航也くん(現ラピード・ウィーン)がいた時は、自分に対してずっと強く言ってくれてたから常に危機感を持てていた。だけど、航也くんが海外に移籍してしまった時、自分に対して強く言ってくれる人が急にいなくなって、自分で整理できなくなってしまった」って。そういう話を聞いて、どんな状況でも自分で考えたり、状況を整理することってすごく大事だなと感じました。

あと、僕が参考になったのは、「自分が成長できる環境を見極めることが大切」っていう話。プロの世界にもいろいろな先輩がいて、それぞれのやり方があるから、全部を聞き入れようとするんじゃなくて、自分に一番合うやり方を見つけること。悠悟の場合は、朝早い時間からクラブハウスに行って、六反勇治選手(現横浜FC)や航也くんたちとトレーニングするようになって、だいぶ身体が変わったらしくて。それで僕も、独自のトレーニングをやっている人にメニューを聞いて実践してみたりしています。

――梅村選手も何か自主的に取り組んでいることはありますか?
梅村 僕は半年ぐらい前から毎朝、スムージーを自分で作って飲むようにしています。それまで筋肉系のケガが多くて、よく肉離れしてしまっていたんですけど、緑黄色野菜を摂ると良いと聞いて、トレーナーの方に美味しく飲める野菜の組み合わせを教えてもらいました。

――効果はいかがですか?
梅村 結構、良い感じです♪
平松 (笑)。でも、本当に全然肉離れしなくなったよね。
梅村 高3の時に肉離れで1カ月くらい離脱して、復帰した試合でまたやっちゃって、結局2、3カ月くらいサッカーができなかったんです。それ以来、連戦とかで疲労が溜まると肉離れしやすくなってしまって。
平松 豪がいないと試合が成り立たないから、連戦でもターンオーバーできなかったんだよね。それで無理してケガをしてしまい、急いで交代出場するのはだいたい僕っていう(笑)

――ところで、平岡宏章監督(現トップチームコーチ)はどんな監督でしたか?
平松 すっごい怒りますけど、すっごい選手想いの監督。「ミスすること」よりも「ビビること」に対してすごく厳しかったので、Jクラブの育成組織として、プロと同じエンブレムをつけて戦うことの意義について強く言われました。あと、平岡さんとの思い出と言えば、高3の時のクラブユース選手権。優勝はできなかったけど、決勝まで行けたのは平岡さんのマネジメント能力があってこそ。ピッチではあんなに怖いのに、宿泊施設では選手をイジり倒したりするから、チーム内の雰囲気はすごく良かったです。

――短期大会だからこそ、勢いや結束力も大事ですね。
平松 衝撃だったのは休息日。普通なら練習か調整をするのに、「自由に遊びに行ってきていいぞ」って言われたんだよね。あの時、何したっけ?
梅村 映画観て、ボーリングした。

――決勝はFC東京U-18に0-2で敗れました。何が足りなかったと思いますか?
梅村 普通に強かったし、ピッチに立っていて「レベルが違うな」って感じたので…何をしたら勝てたのかは、正直分からないです。
平松 僕らもチーム状態はすごく良かったので、「ここまで良くても勝てないのか」って、もう相手を褒め称えるしかなかった。だからこそ2年後に後輩たちが同じ大会で優勝してくれた時は、震えましたね。平岡さんって、あんなに感情を出して喜ぶんだなぁと思って。

「負けたら走り」が良い発奮材料に(梅村)

――ここからは大学時代についてお聞きします。お二人が入学してから立正大は関東大学リーグ2部8位、2部2位、1部3位と躍進を遂げました。その要因は何でしょう?
梅村 2年生の時が、一つの転機だったと思います。
平松 僕らが1年生だった頃までは、まだ少しチーム全体に緩い雰囲気があったんです。でも、2年生になった時、当時のキャプテン(岡村大八/現ザスパクサツ群馬)がみんなの意識をガラッと変えた。もともと能力のある選手は揃っていたので、意識が変わったことで結果もついてくるようになりました。

――創部初の1部リーグに臨んだ昨シーズンはいかがでしたか?
平松 堅い試合ばかりで「とりあえず守備!」って感じでしたけど、どんな戦い方をするにしても、みんなが迷うことなく、共通認識を持ってプレーできたのが良かったかなと思います。
梅村 まず、開幕戦(早稲田大に3-1で勝利)の前半で「1部リーグってこんな感じなんだ」ってのを思い知らされたよね。
平松 早稲田大は前年度王者だし、学生動員の日だったから西が丘のスタンドが満員の状態で、完全に受け身になっちゃった。でも、後半に立て直せて、勝てたのがすごく大きかった。

――ハーフタイムにどんな修正を?
梅村 ロッカールームは選手たちの会話だらけでした。「俺らはチャレンジャーだから、失うものは何もないんだぞ」って。逆に早稲田大のほうが、昇格組の僕らに負けるわけにはいかないっていうプレッシャーがすごかったはずですから。それで後半は気持ち的に楽になって、いつもどおり臨めました。でも、第2節で対戦した駒澤大は、立正大のサッカーをさらに徹底したようなスタイルで、相手の狙いどおりに負けてしまった(1-2で敗戦)。で、次の週の練習で、走りのメニューがメチャクチャきつくなったんです。「負けたらこんなに走らなきゃいけないんだ」ってのが良い発奮材料になって、みんなの《勝利に対する執着》が強くなった気がします。

――立正大は選手の主体性が強い方だと思いますか?
平松 だいぶ強いと思います。さっき話に出たように、ハーフタイムのロッカーは選手の会話だらけで、キャプテンだからとか関係なくみんなが言いたいことを自由に言い合って、それを聞いているヘッドコーチが最後に簡単にまとめてくれます。
梅村 立正大サッカー部は、1年生の時にみんなでキャンプに行くんです。そこで、例えば5メートルぐらいの木を自分たちの手だけで登ったりとか、サッカー以外のいろいろなことに挑戦するっていうのが恒例行事で。
平松 入学したばかりの、まだ仲良くもなってない選手たちだけで意見を出し合って、様々な課題をクリアしなきゃいけないんです。選手としてある前に、一人の大人に向かって成長するために、自分で考えて行動できるようにって。そこでのコミュニケーションがその後のサッカーにも自然とつながっているのかもしれないです。

プロの世界で昇とガチガチの試合がしたい(梅村)

――お互いに対して、大学に入って変わったなと思う部分はありますか?
梅村 変わったこと? 昇はストイックですよね。なんか……ストイック。うん、やっぱりストイック!
平松 ちょっと! 語彙力!(笑)
梅村 自主練とか、自分でムーブメントを起こして周りを巻き込んでるよね。そうやって先頭に立って何かできるのはすごいと思う。
平松 豪は、周りに溶け込むようになった。ユースの頃は狭いコミュニティの中にいるタイプって感じがしていて、後輩が豪にビビったりしてるところもあったけど、大学では後輩とも仲が良い。たぶん豪自身は深く考えてないんだろうけど(笑)、豪の自然体な空気感が周りを惹きつけるんだと思う。
梅村 (無言で『zoom』の「グッドマーク」スタンプを押す)
平松 スタンプかよ(笑)。まぁ、そういう“ゆるい”とこが良いんだけどね。ピッチ内では、以前はただ「守備が上手い選手」っていう印象だったのが、大学に入ってから「状況判断に長けてる選手」っていう印象に変わりました。それが持ち味の守備にも活きているし、攻撃でもいつの間にか点が取れるポジションにいたりして、プレーの幅が広くなってます。

――立正大のサッカーにおける、お二人の存在とは?
平松 やっぱり1部リーグだと相手に技術の高い選手が多いので、鋭いところを狙ってくる選手はたくさんいます。だけど豪がいれば、相手を誘いこむような守備が上手いから、それを全部遮断してくれるんです。相手の攻撃に対して《リアクションの守備》ではなく、自分から《アクションの守備》をしてくれる。だから、そのまま攻撃につなげることができるし、僕たち攻撃陣が思い切って攻撃できるのも、豪が良い位置でセカンドボールを拾ってくれるおかげです。
梅村 あんまり計算するのは得意じゃないんですけど、守備の時だけは「自分がこっちに行ったら、相手はここ来るだろうな」っていう逆算ができるんです。なぜか分からないんだけど、試合中になるといろいろ見えます。
平松 豪のそういうとこ、マジですごいよ。僕は結構、必死にやるタイプだから視野が狭くなってしまいがちなんですけど、そういう時、豪は「今、こういう状況だから、こうした方が良いよ」って声を掛けてくれるんです。
梅村 昇は技術が高いから、とりあえずボールを預けておけば何とかしてくれる。あとはやっぱりキャプテンシー。苦しい時に昇の声を聞くと、力が出ます。

――プロの選手に例えると、誰っぽいと思いますか?
梅村 僕、サッカーの映像はあんまり観ないから、参考にしてる選手もいなくて……。
平松 豪は試合前もサッカーと全く関係ない動画を観たりしてるもんね。豪のプレースタイルに近いのは、エンゴロ・カンテ(チェルシー)じゃない? 豪の応援歌もそうだし。
梅村 昇はグティ(元スペイン代表)だね。これを言ったら、喜ぶんです(笑)
平松 すぐイジってくる!(笑)。確かに、ユース時代の「背番号14」はグティを意識してたけどさ!

――新型コロナウイルスの影響により、リーグ開幕が延期となっています。どんなモチベーションで大学4年目を過ごしていますか?
平松 幸いにも関東大学リーグは他の地域と違って、全日程を開催する方向で動いてくださっているので、モチベーションは本来開幕するはずだった4月頃と変わらずに過ごせています。
梅村 僕は自粛期間中に「サッカーがしたい!」という気持ちがより強くなったので、今の方がモチベーションは高いです。

――今後の目標や夢をお聞かせください。
平松 まずは大学ラストシーズンで「日本一」という結果を出して終わること。昨シーズンはリーグ戦で3位になったことよりも、夏と冬の全国大会でベスト8に終わった悔しさの方が大きかった。立正大は杉田(守)監督をはじめ、スタッフ陣と選手の距離が近くて本当に良いチーム、良い組織ですし、最高の仲間たちと一番良い結果を残したいです。そして将来的には、今まで僕を支えてくれた方々に感謝の気持ちを伝えたいですし、いろいろな人の原動力になりたい。どうしたら自分がそれを体現できるかと言ったら、やっぱり《サッカー》だと思っているので、より多くの人の力になるために、プロの舞台に立ちたいです。(※編集部注:6月5日、2021シーズンの湘南ベルマーレ加入内定が発表)
梅村 僕も今、一番の目標は「日本一」になること。今まで日本一になった経験がないので、大学最後の1年で実現したいです。そして夢は、プロの世界でこれまでのチームメイトと戦うこと。悠悟や昇、(望月)陸(順天堂大)、(中野)優太(同志社大)とかとガチガチの試合がしたい。
平松 熱いね! ユニフォーム交換ができたら、たまらないだろうな。

――1番対戦した人は誰ですか?
梅村 それはやっぱり……悠悟かな。
平松 そこは俺じゃないんだ(笑)。豪と別々のチームで戦うってどんな気持ちになるのか分からないし、すごく楽しみ。実現できるように頑張ろう!
梅村 頑張ろう!

インタビュー・文=平柳麻衣
写真=本人提供

平松 昇(ひらまつ・しょう)
1998年11月26日生まれ、静岡県島田市出身/身長・167センチ、体重・64キロ/清水エスパルスジュニアユース→清水エスパルスユース→立正大学→湘南ベルマーレ(2021シーズン加入内定)/ポジション・MF


梅村 豪(うめむら・ごう)
1998年4月27日生まれ、静岡県島田市出身/身長・168センチ、体重・58キロ/清水エスパルスジュニアユース→清水エスパルスユース→立正大学/ポジション・MF