【対談】平松昇×梅村豪(立正大)前編:まるで“熟年夫婦”な10年来の同期…ボールボーイをしながら小野伸二に見惚れた清水アカデミー時代

 清水エスパルスジュニアユース、ユース、立正大と10年にわたって同じユニフォームを着て、「プロ入り」という同じ夢に向かって歩んできた平松昇と梅村豪。スペシャル対談前編では、2人の出会いやジュニアユース、ユース時代の思い出、2人の仲の良さが伝わるルーティンなどについてお聞きしました。(※取材はビデオ通話にて実施しました)

島田から草薙までって“大きな旅”なんです!(梅村)

――お二人は同じチームに所属して、今年で10年目ですね。
平松 知り合ったのは幼稚園ぐらいなので、もう17年ぐらいの付き合いになります。僕たちの兄が同い年で2人ともサッカーをやっていて、トレセンや選抜で集まる時に僕と豪もついて行って、よく一緒に遊んだりしていたんです。

――さすがに幼すぎて、第一印象は……
平松 いやぁ、覚えてないなぁ。2人とも島田市に住んでいて、別々の小学校の少年団に入っていたので、よく対戦はしていました。当時の豪の印象は、身体が大きくて速い選手。試合で覚えているのは、豪が前線にいる時は勝てたけど、豪が後ろにいる時は勝てなかったってこと。
梅村 その頃から守備の方が好きだったんです。前線にいるとなかなかボールが回ってこないけど、後ろにいればボールに触れるから。

――エスパルスジュニアユース時代で印象的な思い出はありますか?
梅村 まずは《電車》ですね。草薙駅が集合場所で、そこからクラブのバスで送迎してもらっていたんですけど、島田から草薙までって結構距離があって、小6~中1ぐらいの年頃にとっては“大きな旅”なんです!(笑)。最初の頃は親も心配してたし、「ちゃんと辿り着けるかな?」ってドキドキしながら通ったなぁ。

――2人とも一緒に通っていたんですよね?
平松 行きも帰りもずっと一緒でした。僕らだけでなく、他にも焼津とか同じ方面に住んでる人が何人かいたので、みんなでワイワイしながら。ジュニアユース時代は、練習も含めてとにかく「楽しかった」っていう記憶しかないです。
梅村 ジュニアユース時代と言えば、何の大会だったか忘れてしまったけど、終盤に昇が直接FKを決めて、1-0で勝った試合があった。あの時、「オマエ、すげぇな」って思ったよ。
平松 よく覚えてるな(笑)、俺が唯一決めたFK。当時、セットプレーのキッカーをよく任されていて、僕が蹴って豪が合わせるっていうパターンが多かったです。一番忘れられないのは、中3の時のクラブユース選手権のガンバ大阪ジュニアユース戦。結局負けて(3-4)ベスト8で敗退してしまったんですけど、あの試合でも僕のCKに豪が合わせてくれた。
梅村 なんか、僕のところに飛んで来るんですよ、ボールが。

――チームの狙いとして梅村選手に合わせているのではなく?
平松 いや、そういうわけではなくて、「良いボールが蹴れたな」って思うと、だいたい豪が合わせてくれる。
梅村 長年一緒にやってるから、「この辺に来そう」って分かっちゃうんだよね(笑)

《航也くんを怒らせたらヤバい》と思ってた(平松)

――ユース時代はどんな思い出がありますか?
梅村 僕は1年生の時から試合に絡ませてもらったので、結構充実していました。僕たちが1年生の時の3年生は、西澤健太くんや北川航也くん(現ラピード・ウィーン)たちの代なので、すごく高いレベルの中で一緒にプレーできて良かったなって。
平松 僕は、それを羨ましく見てた側の人(笑)。この前、健太くんとも話をしたんですけど、高1の時の僕はすごくもったいない過ごし方をしてしまったなと後悔していて。健太くん、航也くん、(水谷)拓磨くん(現AC長野パルセイロ)、(宮本)航汰くん…ってすごいメンバーじゃないですか。そんな先輩たちに対して、もっと貪欲に吸収しにいけば良かったのに、何も自分から動き出さずに1年が終わってしまった。せっかくエスパルスユースはAチーム、Bチームとはっきり区別せず、みんな同じ時間に同じメニューで練習しているのに、周りを恐れて、遠慮して、自分の良さを出そうともしなかった。もっと自分からアピールしていかないと、周りに自分のことを認知すらしてもらえないんですよね。新しい組織に入って1年目ってすごく大事だから、本当にもったいないことをしたなと思っています。

――先輩たちは怖かったのですか?
梅村 (無言で何度もうなずく)
平松 怖かったねぇ(笑)
梅村 僕が怖かったのは、航汰くん。航汰くんは何か言いたいことがある時、例えば1年生が準備しなければいけないボトルの水が空になっていた時とか、直接言わず、僕らに聞こえるか聞こえないかぐらいの声でボソッと言うんです。あれ結構、怖かったよね?
平松 誰かが試合中にミスした時も、一人でボソボソ言ってた(笑)。今ではもう仲良くしてもらってますけど、当時はだいぶビビってましたね。あと、僕が思ってたのは、《航也くんを怒らせたらヤバい》ってこと。自分が怒られたことはなかったけど、一度、ブチギレたところを見てしまって……。
梅村 覚えてる! 僕らがまだ中3で、練習生としてユースの練習に参加してた時だ!
平松 「やべー先輩がいるぞ」って思ったよね(笑)。でも、僕らがどれだけ怖がっても、航也くんがピッチで見せるプレーはいつも輝いてた。そういえば、豪は航也くんと仲が良かったよね?
梅村 航也くんはオンとオフがはっきりしてるから、サッカーに関してはメチャメチャ熱いけど、ピッチ外では優しく接してくれました。けど、僕らの代で航也くんと一番仲が良かったのは(望月)陸(現順天堂大)じゃない? 僕は(森主)麗司くん(現ヴィアティン三重)と高校が同じで、よくお世話になってました。麗司くんの髪の刈り上げは《気合い》を表してるらしい(笑)
平松 麗司くんはほんっとに良い人。あの人のことを嫌いになる人はいないんじゃないかな。イジられキャラで、みんなに愛されて、ピッチでは誰よりも走るし、すごく頼りになる。

――お二人が憧れていた選手は誰ですか?
平松 《憧れ》って言うと、僕らがアカデミーにいた頃、トップチームに小野伸二さん(現FC琉球)がいたんです。僕は技術系の選手が好きなので、トップの試合でボールボーイをやりながら、ずっと見惚れてました。
梅村 確かに、小野伸二さんはメチャクチャ上手い! 僕らが直接関われるような機会はなかったので、遠い存在でしたけど。
平松 直接関わった選手の中で言えば、僕は2学年上の麗司くん、1学年上の村松航太くん(現ギラヴァンツ北九州)かな。それぞれタイプの違うキャプテンで、麗司くんはみんなの良いところを引き出して、泥臭いことも、汗かき役も惜しまないタイプ。村松くんは“自分の背中で見せる”タイプ。どっちも良い色を出していたので、2人の良いところを盗みたいなと思いながらずっと背中を見てました。

――梅村選手から見た平松選手は、どんなキャプテンですか?
梅村 昇はジュニアユース、ユース、大学ってずっとキャプテンをやってるんですけど、自分のことより相手のことやチームのことを優先してくれる、良いキャプテンです!
平松 ありがとう!(笑)

――キャプテンは指名制ですか?
平松 ユースの時も大学も、投票で決まりました。

――梅村選手も、平松選手に投票を?
梅村 いや…実を言うと、僕は違います(笑)。昇はチームの問題を自分で抱え込んじゃったり、一人で解決しようと頑張り過ぎちゃう傾向があるんです。とくにユース時代は、それがプレーにも出ちゃっていたから、「別にキャプテンだからって一人で抱え込まなくてもいいのにな」って思っていて。大学では、副キャプテンや他の幹部としっかり役割分担できているから、今は大丈夫だけどね。
平松 その言葉、刺さるなぁ(笑)。実際、僕もユース時代は上手くいってなかった自覚があります。キャプテンなのに試合にあまり絡めていなかったし、変にいろいろなプレッシャーを感じ過ぎちゃってたのかも。
梅村 だから、僕らの中で勝手に「裏キャプテン」っていうのを作っていて。例えば、みんなでゴールを運ぶ時とか、普通ならキャプテンの昇が号令を掛けるんですけど、昇が言う前に他の人がちょっとキャプテンぶりながら言って(笑)、それにみんながついていくっていう。
平松 豪や中野優太(現同志社大)とかが、ふざけながらね(笑)。でも、僕がチームのためにああしなきゃ、こうしなきゃって考えてた行動って、場の空気を引き締めすぎて、逆に雰囲気が悪くなっちゃうこともあったから、豪たちのそういう行動にはだいぶ助けられたし、参考にもなりました。そういう気配りが自然にできる、豪のゆっるゆるなキャラクターは良いよね。

「言わなくても分かるでしょ」って思ってる(梅村)

――だいぶ仲の良さが窺えてきました。他に、お二人に共通する思い出はありますか?
平松 2人と言えば、試合前の“お決まり”はあるよね、試合前、豪が急に袖をまくって二の腕を見せてくるんです。で、僕が思いっきりパンチする、っていうのを両腕やってから試合に入ります。ユース時代からやり始めて、今も続けてるけど…あれって何?
梅村 緊張をなくすには《怒り》が一番良いって、本に書いてあったんです。殴られたら痛いじゃないですか。そうすると「うわっ、痛え」って思って緊張が消えて、逆に集中できるっていう。
平松 そうなの!? このルーティン、もう6年ぐらい続けてるけど、そんな意味があったの今、初めて知ったんだけど(笑)

――今まで理由も知らずに殴り続けてきたんですか?(笑)
平松 そうです(笑)。思いっきり殴ることで僕も集中力が高まるし、良い効果をもらってるから。
梅村 僕、意図的にスイッチを入れないとホントに試合中、フワフワしちゃうんです。移動中のバスで寝ちゃうから、ウォーミングアップの時はまだ身体が起きてないし。それで、コーヒーを飲むようにしたり、殴ってもらうようにしてから、プレーの調子はだいぶ良くなりました。
平松 そうなんだ。2人で語り合うことってなかなかないよね。
梅村 中学生の頃は電車で毎日のように話していたけど、もう大抵のことは話し尽くしちゃって。今はもう、話す話題があまりないというか、「言わなくても分かるでしょ」って思ってる部分はある。

――“熟年の夫婦”みたいですね。
平松 その表現、合ってるかもしれない(笑)。練習や試合はもちろん、プライベートでもグループでどこかへ遊びに行くって時でさえ、僕と豪はだいたい一緒にいますから。

――お互いを嫌になったことはないですか?
平松 ないなぁ。
梅村 練習中にムカつく時はあるけど。
平松 それはある(笑)。でも、お互いに感情をぶつけることもないし、会話もしないまま自然と元通りになってます。

《後編に続く》

インタビュー・文=平柳麻衣
写真=本人提供

平松 昇(ひらまつ・しょう)
1998年11月26日生まれ、静岡県島田市出身/身長・167センチ、体重・64キロ/清水エスパルスジュニアユース→清水エスパルスユース→立正大学→湘南ベルマーレ(2021シーズン加入内定)/ポジション・MF



梅村 豪(うめむら・ごう)
1998年4月27日生まれ、静岡県島田市出身/身長・168センチ、体重・58キロ/清水エスパルスジュニアユース→清水エスパルスユース→立正大学/ポジション・MF