活動停止から1カ月半ぶりの公式戦で逆転勝利…反撃の口火を切った法政大FW平山駿

[JR東日本カップ2020第94回関東大学サッカーリーグ戦1部・第20節(12月6日)/法政大学 4-3 中央大学]

取材・文=柿崎優成

 法政大学は1カ月半ぶりの公式戦で降格圏に沈む中央大学と対戦。前半は残留に向けて後がない相手の勢いに押され、連携ミスから2失点を喫した。しかし、「前半はなかなか上手くいかなかったけど、ハーフタイムにポジティブな話し合いができて、誰も諦めていなかった」と話したのは攻撃のキーマン、FW平山駿だ。

 法政大は迎えた後半、前線からのハイプレスと連続した動きから攻勢を強めた。すると51分、味方のパスを受けた平山が細かいタッチと切り返しから相手DFのオウンゴールを誘発。反撃の狼煙をあげた。

「正直言うとクロスボールだったけど、常にゴールは狙っている」

 昨シーズンから本格的に出場機会を得た平山は、トップ下のポジションで起用されながらも得点を取ることに強い意欲を持つ。

「昨シーズンは試合に出ていたけどなかなか得点が取れなくて、監督に自分が評価されるには『得点が大事』と言われた。なので、あまり下がりすぎないように、ゴール前に入って行く回数やスプリントを意識していて、FWの位置も見ている」

 そして今シーズンは前期リーグで6試合連続得点を記録するなど、ここまでチーム最多の7得点を記録。平山の活躍ぶりに対し、法政大の長山一也監督は「テクニカルな選手で、大学レベルではトップクラスだと思う。得点を取れる選手になったので今後も期待したい」と評価する。

 平山が絡んだオウンゴールで勢いづいた法政大は、FW佐藤大樹のハットトリックの活躍で逆転に成功。再開初戦で大きな1勝を挙げた。

 法政大にとっては10月17日、慶應義塾大学戦以来のリーグ戦だった。後期リーグが始まって2週間近く経った10月22日、部内で新型コロナウイルスのクラスターが発生。しばらくの間、活動を停止していた。リーグ戦、アミノバイタルカップ、天皇杯東京都予選と短期間で多くの試合をこなしていたチームに起きた緊急事態だった。

 平山は「隔離施設で生活して、チームや学年でオンラインミーティングしてモチベーションを高めて、再開した時に全国大会の出場枠を目指して行こうと話していた」と自粛期間の日々を振り返る。

 活動停止を経て迎えた中央大戦で価値ある一勝をつかんだ法政大は、12月19日の早稲田大学戦まで5連戦が続く。平山は「チーム全員で準備して、誰が出ても勝てるようにしていきたい」と逆転での全国大会出場に向け、強い覚悟を示した。