青森山田時代の同期、檀崎や三國らから刺激を受ける国士舘大GK飯田雅浩…“質”にこだわり成長を誓う

[JR東日本カップ2021第95回関東大学サッカーリーグ戦1部・第6節(5月15日)/桐蔭横浜大学 3-2 国士舘大学]

取材・文=柿崎優成

 高校サッカー屈指の強豪校、青森山田高校から国士舘大学に進学したGK飯田雅浩。高校3年時には全国高校サッカー選手権で同校2度目の優勝に貢献している。毎年のようにプロ選手を輩出しているハイレベルな環境で揉まれた飯田は、自信を持って大学サッカーの世界に進んだが、当初はレベルの高さに衝撃を受けたという。

「1年生の時は、大学サッカーのレベルの高さに驚き、自分の実力が伴ってないことを感じました。自分は身長が高いほうではないと思っているので、守備範囲やキックの部分は他の選手より磨かないといけない。昨年からコンスタントに出場できるようになり、試合を積んでいく中で、『コーチングの質』、『キックの質』、『セービングの質』と、“質”にこだわって取り組んできました」

 次第に大学サッカーのレベルに順応していった飯田は昨シーズン、14試合に出場。今シーズンよりロアッソ熊本に加入したGK田代琉我とのポジション争いは激しく、大きな充実感を得た。

「成長するにはライバルの存在が大きいと思っていて、プロになった選手とポジション争いを練習から本気でできたことが今は財産となっていると思います」

 5月15日の関東大学リーグ第6節で、国士舘大は桐蔭横浜大学と対戦した。飯田は積極的なコーチングに加え、ビルドアップに参加する時には精度の高いキックで攻撃の起点となる役割も果たした。ところが流れは徐々に相手に傾き始め、43分に失点。前半終了間際にショートカウンターからFW高橋尚紀のゴールで追いつき前半を折り返したが、59分に再度リードを許した。

 流れを変えたい国士舘大は失点後に選手交代を行い、攻撃の活性化を図った。すると70分、相手のプレスが一瞬緩んだところでDF前川智敬が意表を突くロングシュートを決め、スコアを再びイーブンに戻した。しかし、直後に失点を喫し、これが決勝点となって2-3で敗れた。飯田は「点の取り合いになって、キーパーの自分からすれば望んでいない展開でした。ただ、負けた中でも良いところはたくさんあったので、次につながると思います」と振り返った。

 飯田にとってこの一戦は、いつもと異なる意識があった。3月に行われた『第35回デンソーカップチャレンジサッカー熊谷大会』で関東AのチームメイトだったGK早坂勇希との対戦でもあったからだ。

「関東Aで一緒にやったことと、川崎フロンターレに内定している選手ということもあって、負けたくない気持ちはありました。でも、結果として自分のほうが失点が多かったし、ハヤくん(早坂)は良いセーブをしていた。悔しさがあるので、この現実を受け止めて成長していきたい」

 青森山田時代の同期には、高校から直接プロの世界に進んだ檀崎竜孔(ブリスベン・ロアー)や三國ケネディエブス(栃木SC)、さらに大学途中でプロの世界に飛び込んだ天笠泰輝(ザスパクサツ群馬)がいる。彼らの存在もまた、飯田に大きな刺激を与えている。

「大学では、プロになった選手には経験できないことも経験しているので、進学して良かったなと思っています。残り1年半しかないので、もう一段階レベルを上げてさらに成長していきたい」

 彼らと同じ舞台を目指す飯田は、大学で過ごす時間を少しも無駄にはしない。