取材・文=柿崎優成
JR東日本カップ2020第94回関東大学サッカーリーグ1部の第7節が8月15日に行われ、法政大学と筑波大学が対戦した。前節が延期となった法政大学にとっては、2週間ぶりのリーグ戦。対する筑波大は、ミッドウィークに延期分の第1節を消化したため、中2日での連戦となった。
日程面で優位な立場だった法政大だが、開始早々、アクシデントが発生した。6分のセットプレーで主将のDF森岡陸が負傷。そのまま交代を余儀なくされた。暑さも影響したせいかミドルサードでの攻防が続いたなか、28分にFKから失点し、筑波大にリードを許す。しかし、わずか4分後の32分、CKの二次攻撃からMF田部井涼のクロスをMF田中和樹が頭で折り返し、FW平山駿が押し込んで試合を振り出しに戻した。
「セットプレーの練習は1日使って取り組む時もある。クロスボールやこぼれ球は相手より一歩先に動くように意識していた」と平山。これで開幕戦から6試合連続ゴールを記録し、長山一也監督も「技術的に高い選手。私が指揮してから6試合連続で決めた選手はいないはず」と目を丸くして称賛した。
法政大はロングフィードの精度が高いDF城和隼颯やMF松井蓮之が起点となり、運動量が落ちた相手のDFラインの裏を狙って攻勢を強めた。右サイドバックで起用されたDFモヨ マルコム強志が高い位置を取って攻撃を組み立てることもあれば、キープ力と動き出しの速さに長けたFW佐藤大樹が相手守備陣を脅かしたが、なかなか得点には至らない。すると前半終了間際の45+4分、筑波大のFW和田育にPKを決められ失点。再び筑波大に勝ち越しを許して前半を終えた。
得点が欲しい法政大は61分、DF高木友也とMF長谷川元希を投入。攻撃の起点を増やしたことでゴール前に入り込む回数が増え、連続してCKを獲得した。象徴的だったのは、高身長のDF城和隼颯、モヨ、松井、佐藤がセットプレーのたびに位置取りを綿密に話し合っていたシーンだ。その成果が表れたのは72分。左サイドからの長谷川のキックをファーサイドでモヨが合わせ、同点に追いついた。「ニアで逸らす形を狙っていて、準備どおりになった」という長山監督の言葉のとおり、ターゲットとなる4人のうち3人がニアサイドに飛び込んだことで筑波大DF陣が動きに釣られ、ファーサイドでモヨがフリーになった。
この勢いで逆転を目指す法政大は、オーバーラップを絶えず続けるモヨや途中出場のMF服部剛大がサイドから相手陣内深くまでドリブルで突破して好機を演出した。しかし、佐藤のヘディングシュートはGKのファインセーブに遭い、長谷川のシュートも筑波大DF陣の気迫のスライディングによって阻まれ、2-2のままタイムアップを迎えた。
再三のチャンスを作りながら1点が遠かった法政大。長山監督は「連勝してもおかしくないゲームができた。勝負事において大事な“抑えるべき点”をまだ抑えきれなく、隙がある。失点が1試合2点ペースなので、改善していきたい」と厳しい口調で語った。しかし、2度のビハインドを追いついた攻撃面に関しては評価しており、「得点に関しては多彩な形で取れているので、引き続き良くしていきたい」と前向きに述べた。
一方、3連戦での選手のやりくりを「一つのポイントと捉えていた」という筑波大の小井土正亮監督。「安定したゲーム運びはできてきたが、攻撃の怖さや守備の最後の球際の部分など甘さも見えた」と試合全体を振り返った。また、2失点したセットプレーについては、「相手にCKを与えすぎた。法政には素晴らしいキッカーがたくさんいるので、あれだけ与えればやられてしまう」と相手を褒め称えつつ、課題の改善を選手に求めた。