デンチャレMVP選出の筑波大MF山原怜音…かつてのボランチ経験を生かし、右SHで3得点

取材・文=柿崎優成

「大会が始まる前は想像してなくて、喜びより驚きのほうが気持ち的に強いです」

 3月3日から8日にかけて開催された『デンソーカップチャレンジサッカー熊谷大会』。関東A選抜のMF山原怜音(筑波大学)は、予想外のMVP選出に驚きを隠さなかった。

 今大会で関東A選抜を率いた川津博一監督(日本大学)は、山原の特徴である「ゴールに関わるプレー」を活かすべく右サイドハーフで起用。「前線の選手として攻撃に関わる仕事をしたい」と意気込んで試合に臨んだ山原は、出場した3試合で3ゴールと結果を残した。

 グループリーグ初戦の日本高校選抜戦は、77分に均衡を破る先制点を奪取。続く関西選抜戦では14分に先制点を決め、グループリーグ突破の立役者になった。そして関東C・北信越選抜との決勝戦では、試合終了間際の89分に勝負を決定づける3点目をマーク。「大学に入ってから、出場した試合で毎回得点したことはなかった」という山原は、「自分が出ていた試合では、状況的に点が欲しい展開が続いていた。自分が得点をすることでチームの勝利につながるという感覚をつかめた」と手応えを口にした。

 JFAアカデミー福島時代は主にボランチ起用が多かったという山原。サイドハーフでのプレーにはボランチでの経験を応用し、「中央に入って相手のブロックの間で受けるシーン」でも落ち着いたプレーを見せた。

 所属する筑波大では右サイドバックを主戦場とし、アップダウンの激しいポジションで対人の強さや運動量を持ち味に「サイドで幅を取り、サイドから攻撃を組み立てる形」を武器にしている。1年時から主力に定着し、2年時にはユニバーシアード日本代表に選出され大会連覇に貢献。輝かしい大学サッカーキャリアを歩んできた。

 しかし昨シーズンは天皇杯でベスト8に進出した一方で、リーグ戦では思うような結果が残せず、残留争いに巻き込まれ10位で終えた。最終学年となる今シーズンは筑波大で副将を務める。チームスローガンである『再醒』を託される世代として、年代屈指のサイドバックは攻守にチームをけん引していく。