清水ユース、3連勝でグループステージ突破…田中侍賢の劇的ゴールで鹿島ユースに競り勝つ/クラブユース選手権

[第45回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会・グループステージ第3節(7月28日)/清水エスパルスユース 4-3 鹿島アントラーズユース]

取材・文=柿崎優成

 第45回日本クラブユース選手権の3日目。グループステージ2連勝で予選突破を決めた清水エスパルスユースは、同じく予選突破を決めている鹿島アントラーズユースと対戦した。

 清水ユースは前半11分に今大会初失点を許すも、18分、MF金子星太のFKからFW千葉寛汰が同点ゴールを奪取。これを皮切りに32分、MF安藤阿雄依がこぼれ球を押し込み逆転すると、34分には左サイドを崩して安藤のシュートが弾かれたところをMF渡邊啓佳が決め、3-1とリードして前半を終えた。

 このまま勝利に持ち込みたかったが、後半は鹿島の攻勢に押し切られ、41分と53分に失点。しかし、3-3で迎えた試合終了間際の70+2分、MF畠中勇士朗のFKから途中出場のMF後藤啓太の折り返しにFW田中侍賢がフリーで頭で合わせ、清水ユースが4-3で接戦をモノにした。

「同点だったので、最後は気持ちで押し込もうと思っていた。良いボール蹴ってくれた味方に感謝したい」と田中。決勝点となった4点目以外にも、田中は攻撃の要として躍動していた。自身が弱点と言う前からの守備にも奮闘し、攻撃ではチームメイトをスペースに走らせる動きを引き出した。

 特に3点目につながった場面では、安藤との連携からサイドを崩した。「阿雄依とはパスの意気が合いやすい。彼のスピードを活かすことを意識しました」(田中)

 またこの試合、主将のMF鈴木奎吾をリザーブに置いたため、代わって千葉がキャプテンを担った。

「初めてキャプテンマークを巻いてモチベーション高く試合に入りました。35分の出場と事前に言われていたので、『35分で点を取る』ミッションを自分に課して、フリーキックの時、金子に『俺に出せ』と言っていて、決めきれて良かった」(千葉)

 プレミアリーグEASTで現在8得点の千葉は、クラブユース選手権でも得点を重ねている。グループステージ第2節のモンテディオ山形ユース戦ではハットトリックを達成し、鹿島戦でも反撃の狼煙となる得点を決めた。

「自分がプロに行くための大会でもあると思いますし、自分の価値を上げる大会でもあるので、毎試合得点していきたい気持ちで臨んでいます」(千葉)

 3連勝というグループステージの戦いぶりについて、岩下潤監督は「1、2試合目は無失点で勝ち進んで、鹿島戦は失点した時に何をするかというところで、トーナメントに向けて良い経験になった。また、鹿島戦に関しては出場機会が少なかった選手にアピールする機会を作れて、良さを出せた選手もいた。決勝トーナメントに向けて良い状態で入れる」と総括した。

 続けて、この先を勝ち上がっていくためには、「ピッチコンディションに合わせた判断力」を課題に挙げた。「このピッチコンディションでは、シンプルなプレーが増えて来るのは確か。修正しながら戦い方を覚えていければ。また、短期決戦では大会期間にどれだけ成長できるか大事な要素になってくる。ノックアウトステージはこういう時しか経験できないので、ピッチ内外含めてアップデートしていく場にしたい」(岩下監督)

 清水ユースはラウンド16で横浜FCユースと対戦することが決まった。横浜FCユースとは7月4日にプレミアリーグEASTで対戦した時に3点差をひっくり返され、3-4で敗れた相手だ。この試合でメンバー外だった千葉は「負けた姿を見て悔しかった。俺がいたら勝てるところを証明したい」と雪辱を誓った。